Design

LDKのロゴ・各種ショップツール

LDKは、横浜での15年以上に及ぶ営業を終えて、長野県松本市に移住を決断、2021年に同市浅間温泉に新たな店舗を構えたパン屋。移住の際にオーナーである牧田夫妻が頼った、松本市の空き家活用を進めるプロデュースチーム〈そら家〉から、新店舗開店に向けたデザインの相談を受け、正式にディレクション・デザインに携わった。LDKは、開業当初の「地域のリビング・ダイニング・キッチンになれたら」という願いが込められた名。不動産業かリノベーション業に思えてしまう名前のため、移転を機に改名をすべきかとの相談も受けたが、一見すると風変わりで理解しづらい名称を生かしたアプローチ・デザインにすることで、他とは一線を画す存在を目指した。

都心に近い横浜では「忙しい日常を過ごす顧客のライフスタイルに寄り添う」パン屋だったが、移転を機に、「手間をかけて豊かな時間を過ごす暮らしを提案する」パン屋としての展開をスタートする計画に。それに従い、ロゴマークのデザインコンセプトは「慎ましくも温かな食卓」。LDKの3文字を食卓の風景に見立て、Lは時間的豊かさを表すキャンドル、Dは精神的豊かさを表すパン、Kは空間的豊かさを表す食卓の意味合いがある。3文字はそれぞれ既存の、しかしまったくテイストの異なる3種のフォントを組み合わせている。既存のフォントを使用したのは、パンの素材や美味しさが何か特別なものによるではなく、作り手の思いひとつによるものであることの象徴として。テイストの異なるフォントを組み合わせたのは、オーナー夫妻の「これからはもっと自由に、楽しく、境界を超えていろんなことに挑戦してゆきたい」という思いを受けて、ロゴマーク自体にもチャレンジングな姿勢を体現させたかったから。

店名とロゴマークに多くの謎を秘めるいっぽう、ひと目で業種や姿勢がわかるショルダーコピーを、LDKの新たな指針「手間をかけて豊かな時間を過ごす暮らしを提案するパン屋」を元に検討。10点のショルダーコピーのなかから、シンプルかつストレートなコピー「ゆたかなぱん」が採用された。店名やロゴが読めるよう、コピーとともにカタカナ表記のロゴタイプも制作。ロゴマーク+コピー+ロゴタイプを組み合わせることで、強い印象・メッセージ・店名を余すことなく伝えることができる。

ロゴマークを元に、ショップカード、名刺、包装紙、シール、グリーティングカードと店舗ツールをデザイン。このロゴマークは、包装紙に浮かび上がる「スマイル」に見られるように、ロゴマークを解体し再構成すると、異なるビジュアルにもなる。ここに表記しなかった隠れたメッセージやスタイルが、LDKのロゴマークにはまだ含まれており、今後の展開のなかで少しずつ登場させていく。

Client: LDK
Art Direction: Go Uchida
Design: Go Uchida
Copywriting: Go Uchida
Printing: HAGURUMA, Fujiwara Printing, Graphic

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