REPORT: ちぎらまりこ個展「やわらかく、まるくなる」

会期：2019年11月9日（土）〜 11月24日（日）
作家：ちぎらまりこ
企画：してきなしごと

2019年11月、貼り絵作家・ちぎらまりこの個展「やわらかく、まるくなる」を、SHITEKI NA SHIGOTO Galleryで開催しました。今春に台湾で開催した展示内容に加えて、新たな作品の展示とグッズ販売、また、してきなしごと・ウチダゴウとのコラボレーションポスターおよび原画も、展示・販売しました。これまで、イベント出店などでの似顔絵オーダーを中心として活動してきた、ちぎらまりこ氏。個展開催は、まだ指折り数えるほどで、長野県内で開催するのは、本展が初めて。序盤こそ静かな客足でしたが、日を追うごとに、県内外から訪ねる方が増え、蓋を開けてみれば、多くの来場者に恵まれた展示会となりました。

展示作品は、布地に紙を貼る作品群が中心。これまでの創作活動のなかで、近頃、「紙に紙を貼る」スタイルに不自由さや限界を感じ始めていた作家は、昨年から今年にかけて、布という新たな素材に出会います。その後、壁に飾ることしかできなかった紙作品に比べ、ちぎらまりこの貼り絵は、壁に架けるのはもちろんのこと、空間の間仕切りとして掲げたり、物のカバーとして覆ったりすることが可能に。布という素材は、作家にとっての創作の幅だけでなく、作品購入者にとっての楽しみ方の幅も広げてゆきました。ちぎらまりこの名を多くの人が知ることとなった「貼り絵の似顔絵オーダー会」には、多くのファンや新たに興味を持った人たちが押しかけ、大盛況に。特徴を掴むその感性、作家自ら収集してきた無数の紙の中からベストな素材を瞬時に選ぶ能力、そして迷いなくちぎっては貼っていく創作性に、オーダーする人たちは皆驚くばかりでした。

さらに可能性を広げるべく、作家からの要望で、詩と貼り絵によるポスター「PATCHY POSTER」も制作。詩から生まれた貼り絵、貼り絵から生まれた詩、それぞれ3作品、合計6作品を、してきなしごとがデザイン。様々な場面で楽しんでもらえるポスター作品に仕上げました。23日夜に開催したディナーライブでは、このコラボレーションに寄せた6編の詩を朗読。その傍らで作家はその夜を詰め込んだ貼り絵作品を制作、来場者1名が抽選で原画を持ち帰ってゆきました。この夜を演出してくださったのは、松本の食堂「Alps gohan」。コラボレーション作品の「PATCHY POSTER」のキーワード”PATCHY＝つぎはぎ”を連想させるようなメニューを、料理人・金子健一氏がこの夜のために考案、来場者に振舞ってくださいました。


DM Design, Writing: Sora Sato
photograph: Sora Sato, Go Uchida