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REPORT: くるまさいこう2021

第1回:2021年6月12日(土)・13日(日)
第2回:2021年7月10日(土)・11日(日)
第1回:2021年8月7日(土)・8日(日)


2021年初めにウチダゴウが執筆した一編の詩「くるまさいこう」がきっかけとなり、イベント「くるまさいこう」の企画はスタートしました。まず、詩「くるまさいこう」が印刷され、金色で小口塗りされた活版カードを制作。かねてからSHITEKI NA SHIGOTO Galleryに足を運んでくれていたイラストレーター・ナカムラルイ氏に声をかけ、カードの余白部分に、イラストを描いてもらうという内容。イラストはもちろん〈車〉。今乗っている愛車、過去の車遍歴のなかで最も好きだった車、免許を取って初めて乗った車、子供の頃の思い出が残るあの車、我が子が好きな働く車、いつか乗りたい憧れの車。多くの人にとって、その人生において温かな思い出や感情が宿る〈車〉を、その気持ちとともにカードに残してもらおうという企画になりました。6月の第1回目の好評を受けて、7月そして8月と、3ヶ月連続全3回開催し、のべ100台以上のカットを描くという大きなスケールのイベントへと成長しました。

メッセージや説教臭さ。詩が持っているそんなイメージからはっきりと自立した詩を書いてみよう。せっかくならば、普段手を取り合わないようなテーマやジャンルについて書いてみよう。そんな思いから書いた「くるまさいこう」でしたが、車そのものを愛する人たちだけでなく、車との日々や思い出など、車越しに映る光景に思い入れのある人たちにとっても、その心に響く詩そして企画になったことは、参加者の表情を見れば一目瞭然。7月からは会場に来られない人たちのためにオンラインオーダーもスタート。そちらにも多くの注文をいただき、またカードが届くと熱いコメントや感想も多く寄せられました。

価値観やライフスタイルの転換期にあって、それぞれのテーマについて「新しい正しさ」を求められる現代。しかしその「正しさ」は、Indivisualism=個人主義の未成熟な日本では、Collectivism=全体主義的なものにふと偏りがちになりそうな気配も含んでいます。そんな過渡期において、とてもプライベートな「この車が好き、あの車が好き」という小さな思いだけをひたすら愛で、尊び、讃えたこのイベントは、〈夏を楽しむ最高なイベント〉という一面とは別に、もうひとつの価値を持っていたように思えます。この企画を、会場に来場した参加者、オンラインオーダーの参加者、そしてイラストレーター・ナカムラルイ氏とともに3ヶ月間開催できたことを、心から嬉しく思います。



June


July

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